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大船を舳ゆも艫ゆも堅めてし
許曽の里人あらはさめかも

歌の意味
大船を舳先からも艫からもしっかり固めたように、固く口止めをした許曽の里人が、二人の仲を明かしたりするだろうか。
鑑賞
巻第十四 東歌 3559

詞書は前の歌に続き「相聞」
 大船を前からも後ろからも固くつなぎとめるように、固く口止めをしておいた許曽の里人たちが、二人の秘密を明かすはずはないとうたう歌である。秘めた恋を守ろうとする慎重さと、それでも残る不安とが表されている。
 相聞の一首である。許曽は所在未詳の地名である。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「大船を」は大きな船で、しっかりと固めることを導く。
 二句「舳ゆも艫ゆも」の「舳」は船首、「艫」は船尾、「ゆ」は起点を表し、前からも後ろからもの意である。字余りの句である。
 三句「堅めてし」は固めておいたの意で、初句からここまでが序詞的に口止めを導く。
 四句「許曽の里人」は許曽の里の人々で、所在未詳の地名である。
 結句「あらはさめかも」の「あらはす」は秘密を明かすこと、「めかも」は反語で、明かしたりするだろうかと結ぶ。

へ:船首
とも:船尾
あらはす:秘密を明かす
出典
万葉集
前の歌
逢はずして行かば惜しけむ麻久良我の 許我漕ぐ船に君も逢はぬかも
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ま金ふく丹生のま朱の色に出て 言はなくのみぞ我が恋ふらくは