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ま金ふく丹生のま朱の色に出て
言はなくのみぞ我が恋ふらくは

歌の意味
金を精錬する丹生の赤土の色のように、はっきり表に出して言わないだけなのだ。私の恋しく思う気持ちは。
鑑賞
巻第十四 東歌 3560

詞書は前の歌に続き「相聞」
 丹生の赤土のようにはっきり表に出して言わないだけで、自分の恋心は決して浅くないとうたう歌である。秘めた恋の深さを、鮮やかな朱の色を引き合いに逆説的に示している。
 相聞の一首である。丹生は水銀や朱砂を産する地で、各地に同名の地がある。武蔵国歌の第三千三百七十六首などと同じく、「色に出」の語で恋が表に出ることをうたう。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「ま金ふく」の「ま金」は鉄、金属で、「ふく」は精錬することである。「丹生」にかかる枕詞的な用法である。
 二句「丹生のま朱の」の「丹生」は朱砂を産する地、「ま朱」は赤い土で、初句と二句が「色に出」を導く序詞となる。
 三句「色に出て」の「色に出」は表に出す意で、第三千三百七十六首の「色に出なゆめ」、第三千五百三首の「色に出めやも」と同じ語である。
 四句「言はなくのみぞ」の「ぞ」は係助詞で、言わないだけなのだと強める。四句切れである。
 結句「我が恋ふらくは」の「恋ふらく」は恋しく思うことの意で、倒置によって主題を最後に示して結ぶ。

まかね:鉄、金属
ふく:金属を精錬する
まそほ:赤い土
出典
万葉集
前の歌
大船を舳ゆも艫ゆも堅めてし 許曽の里人あらはさめかも
次の歌
金門田を荒垣ま斎み日が照れば 雨を待とのす君をと待とも