荒礒やに生ふる玉藻のうち靡き
ひとりや寝らむ我を待ちかねて
- 歌の意味
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荒磯に生える美しい藻がなびくように、あの子は身を横たえて一人で寝ているだろうか。私を待ちかねて。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3562
詞書は前の歌に続き「相聞」
荒磯に生える藻が波になびくように、恋人は身を横たえてひとりで寝ているだろうか、自分を待ちかねてとうたう歌である。波に揺れる藻のしなやかさに、寂しく横たわる恋人の姿が重ねられている。
相聞の一首である。本歌から海辺の藻を詠む歌が続き、次歌も磯のわかめを詠む。常陸国歌の第三千三百九十七首にも「玉藻」が詠まれる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「荒礒やに」の「荒礒」は岩の多い荒い磯で、「や」は間投助詞とされる。
二句「生ふる玉藻の」は生えている美しい藻で、第三千三百九十七首にも見える語である。初句と二句が序詞となる。
三句「うち靡き」の「うち靡き」は身を横たえることで、藻がなびくことに重ねる。
四句「ひとりや寝らむ」の「や」は疑問の係助詞で、「らむ」と呼応する。
結句「我を待ちかねて」の「かね」はできないの意で、待ちかねての意である。倒置によって理由を最後に示す。
ありそ:岩の多い荒い磯
たまも:美しい藻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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金門田を荒垣ま斎み日が照れば 雨を待とのす君をと待とも
- 次の歌
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比多潟の礒のわかめの立ち乱え 我をか待つなも昨夜も今夜も