かの子ろと寝ずやなりなむはだすすき
宇良野の山に月片寄るも
- 歌の意味
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あの子と共寝をしないまま終わってしまうのだろうか。宇良野の山に月が傾いてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3565
詞書は前の歌に続き「相聞」
恋人のもとへ急ぐ途中、宇良野の山に月が傾いてしまったのを見て、今夜はあの子と共寝をしないまま終わるのだろうかと嘆く歌である。夜の更けゆく月の動きが、焦る恋心を際立たせている。
相聞の一首である。宇良野は信濃国の浦野、現在の長野県上田市付近とする説がある。「はだすすき」は第三千五百六首にも見える枕詞である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「かの子ろと」の「かの子ろ」はあの子の意で、「ろ」は東国方言の接尾語である。
二句「寝ずやなりなむ」の「や」は疑問の係助詞で、「なむ」と呼応する。二句切れである。
三句「はだすすき」は穂が出ることから「うら(末)」にかかる枕詞で、第三千五百六首にも見える。
四句「宇良野の山に」の「宇良野」は地名で、信濃とする説がある。
結句「月片寄るも」の「月」は「つく」と訓む東国方言で、「片寄る」は傾くことである。「も」は詠嘆である。
はだすすき:「穂」「うら」などにかかる枕詞
つく:月の東国方言
かたよる:傾く
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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古須気ろの浦吹く風のあどすすか 愛しけ子ろを思ひ過ごさむ
- 次の歌
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我妹子に我が恋ひ死なばそわへかも 神に負ほせむ心知らずて