置きて行かば妹はま愛し持ちて行く
梓の弓の弓束にもがも
- 歌の意味
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家に置いて行ったなら、妻のことがいとしくてならない。せめて持って行く梓の弓の握りであってほしい。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3567
詞書「防人歌」
妻を家に置いて行けばいとしさに耐えられないから、せめて手に持って行く弓の握りであってくれたらとうたう防人の歌である。いつも手に握る弓に妻を重ね、片時も離れたくない思いが表されている。
本歌から防人歌の部となる。左注に次歌と合わせて「右二首問答」とあり、本歌は防人の夫の問い、次歌はそれに答える妻の歌である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「置きて行かば」は置いて行ったならばの意で、六音の字余りである。
二句「妹はま愛し」の「ま愛し」はとてもいとしいの意で、二句切れである。
三句「持ちて行く」は持って行くの意で、旅に携える弓を導く。
四句「梓の弓の」は梓の木で作った弓で、防人の武器である。
結句「弓束にもがも」の「弓束」は弓の握り、「もがも」は願望で、弓の握りであってほしいと結ぶ。次歌の「君が弓にも」と呼応する。
ゆづか:弓の握り
まかなし:とてもいとしい
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我妹子に我が恋ひ死なばそわへかも 神に負ほせむ心知らずて
- 次の歌
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後れ居て恋ひば苦しも朝猟の 君が弓にもならましものを