後れ居て恋ひば苦しも朝猟の
君が弓にもならましものを
- 歌の意味
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後に残されて恋い慕っているのは苦しい。朝の狩りに出るあなたの弓にでもなれたらよいのに。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3568
詞書は前の歌に続き「防人歌」
夫が旅立った後に残されて恋しく思うのは苦しいから、朝の狩りに持って行く夫の弓にでもなれたらよいのにとうたう妻の歌である。前歌の夫の願いに応えて、自分も弓になって共に行きたいと答えている。
防人歌の一首で、左注に「右二首問答」とある。前歌で夫が妻を弓の握りにしたいと願ったのに対し、妻は自ら夫の弓になりたいと応じ、問答が呼応している。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「後れ居て」は後に残されての意で、夫を見送る妻の立場を示す。
二句「恋ひば苦しも」は恋い慕えば苦しいの意で、二句切れである。
三句「朝猟の」は朝の狩りで、狩りに用いる弓を導く。
四句「君が弓にも」はあなたの弓にでもの意で、前歌の「梓の弓の弓束」と呼応する。
結句「ならましものを」の「まし」は反実仮想で、なれたらよいのにと結ぶ。
あさがり:朝の狩り
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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置きて行かば妹はま愛し持ちて行く 梓の弓の弓束にもがも
- 次の歌
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防人に立ちし朝開の金戸出に たばなれ惜しみ泣きし子らはも