- 歌の意味
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葦の葉に夕霧が立ちこめて、鴨の鳴き声が寒々と聞こえる夕べには、お前のことを思い出すだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3570
詞書は前の歌に続き「防人歌」
葦の葉に夕霧が立ちこめ、鴨の声が寒々と響く夕暮れには、きっとお前を思い出すだろうと妻に告げる防人の歌である。旅の夕べの寂しい情景が、残してきた妻への思いをいっそう深めている。
防人歌の一首である。旅の途上の水辺の景を詠み、第三千五百二十四首から続いた水鳥の歌とも響き合う。巻一の志貴皇子の「葦辺行く鴨の羽交ひに霜降りて」の歌とも通う景である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「葦の葉に」は葦の葉にの意で、水辺の景を示す。
二句「夕霧立ちて」は夕霧が立ちこめての意である。
三句「鴨が音の」は鴨の鳴き声で、寒さを導く。
四句「寒き夕し」の「夕」は「ゆふへ」と訓み、「し」は強意である。
結句「汝をば偲はむ」は思い出すだろうの意で、「む」は推量である。結句で妻への呼びかけとなる。
ゆふぎり:夕方に立つ霧
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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防人に立ちし朝開の金戸出に たばなれ惜しみ泣きし子らはも
- 次の歌
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己妻を人の里に置きおほほしく 見つつぞ来ぬるこの道の間