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あしひきの山かづらかげましばにも
得がたきかげを置きや枯らさむ

歌の意味
山のかずらかげは、めったに手に入らないものなのに、そのかずらかげを置いたまま枯らしてしまうのだろうか。
鑑賞
巻第十四 東歌 3573

詞書は前の歌に続き「譬喩歌」
 めったに手に入らない山のかずらかげを、手をこまねいて置いたまま枯らしてしまうのかと、得がたい娘との縁を逃すことを惜しむ譬喩歌である。貴重な草にたとえた娘への思いと、決断できないもどかしさとが表されている。
 譬喩歌の一首である。山かずらかげはヒカゲノカズラとされ、神事のかずらに用いられた植物である。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
 二句「山かづらかげ」の「山かづらかげ」はヒカゲノカズラとされ、得がたい娘をたとえる。
 三句「ましばにも」の「ましば」はしばしばの意で、めったにの意を導く。
 四句「得がたきかげを」は得がたいかげの意で、二句の「かげ」を受ける。
 結句「置きや枯らさむ」の「や」は疑問の係助詞で、置いたまま枯らしてしまうのかと結ぶ。

やまかづらかげ:ヒカゲノカズラとされる植物
ましば:しばしば
出典
万葉集
前の歌
あど思へか阿自久麻山の弓絃葉の ふふまる時に風吹かずかも
次の歌
小里なる花橘を引き攀ぢて 折らむとすれどうら若みこそ