秋さらば相見むものを何しかも
霧に立つべく嘆きしまさむ
- 歌の意味
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秋になればまた会えるのに、どうして霧となって立ちこめるほどに嘆きなさることがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3581
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
前歌の妻の訴えに、夫が秋には帰って会えるのだからと慰めた歌である。妻の「霧」を受け、霧となるほど嘆く必要はないと答えている。使節は秋の帰国を予定していたが、実際には帰京が翌年にずれこみ、この約束は果たされなかった。そのことを知って読むと、慰めのことばがいっそう哀れに響く。
本巻の前半は、天平八年に新羅へ遣わされた使節一行の歌を、難波の出航から帰途まで旅程の順に収めた歌群である。左注に「右十一首贈答」とあり、巻頭の十一首は出発を前にした使人とその妻との別れの贈答である。作者の名はいずれも記されていない。
初句「秋さらば」 「さる」は季節が移って来る意で、秋になったならばの意である。使節は秋の帰国を予定していた。
二句「相見むものを」 「ものを」は逆接で、会えるはずなのにの意を表す。
三句「何しかも」 「し」「かも」は強意と疑問の助詞で、どうしてまあという反語的な問いかけとなる。
四句「霧に立つべく」 前歌第三千五百八十首の「霧立たば」を受け、霧となって立つほどにの意である。
結句「嘆きしまさむ」 「し」は強意、「ます」は尊敬の補助動詞で、三句「何しかも」を受けて、嘆きなさることがあろうかと反語で結ぶ。
さる:季節や時が移って来る
あひみる:互いに会う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君が行く海辺の宿に霧立たば 我が立ち嘆く息と知りませ
- 次の歌
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大船を荒海に出だしいます君 障むことなく早帰りませ