大船を荒海に出だしいます君
障むことなく早帰りませ
- 歌の意味
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大きな船を荒海に漕ぎ出してお行きになるあなた、何の障りもなく、早く帰っていらしてください。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3582
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
荒海に乗り出していく夫の無事と早い帰りを、妻が祈るように願った歌である。飾らないことばで、ただ無事を願う気持ちが率直に表されている。結句「早帰りませ」は、本巻後半で狭野弟上娘子が配流の夫に呼びかける第三千七百四十七首と第三千七百四十八首にも現れ、待つ女の歌として巻の前後半が呼応している。
本巻の前半は、天平八年に新羅へ遣わされた使節一行の歌を、難波の出航から帰途まで旅程の順に収めた歌群である。左注に「右十一首贈答」とあり、巻頭の十一首は出発を前にした使人とその妻との別れの贈答である。作者の名はいずれも記されていない。
初句「大船を」 使節の乗る大型の船を指す。
二句「荒海に出だし」 「荒海」は「あるみ」と読み、「あらうみ」がつまった形である。
三句「います君」 「います」は「行く」の尊敬語で、お出かけになるあなたの意。ここまでが呼びかけとなる。
四句「障むことなく」 「つつむ」は差し障りがある、災いにあう意で、何事もなく無事にの意となる。次歌第三千五百八十三首で夫が「障り」の語で受けている。
結句「早帰りませ」 「ませ」は尊敬の補助動詞「ます」の命令形で、早くお帰りくださいと願う。
あるみ:荒海、あらうみがつまった形
います:「行く」の尊敬語、お出かけになる
つつむ:差し障りがある、災いにあう
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋さらば相見むものを何しかも 霧に立つべく嘆きしまさむ
- 次の歌
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ま幸くて妹が斎はば沖つ波 千重に立つとも障りあらめやも