我妹子が下にも着よと贈りたる
衣の紐を我れ解かめやも
- 歌の意味
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いとしい妻が肌着にして着てくださいと贈ってくれた衣の紐を、どうして私が解いたりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3585
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
前歌の妻のことばを受け、贈られた衣の紐は決して解かないと夫が誓った歌である。互いに結び合った衣の紐を再会まで解かないことは、離れている間の貞節を守る約束であった。妻の「下にを着ませ」を「下にも着よと」と言い直して受け、その心に応えている。
本巻の前半は、天平八年に新羅へ遣わされた使節一行の歌を、難波の出航から帰途まで旅程の順に収めた歌群である。左注に「右十一首贈答」とあり、巻頭の十一首は出発を前にした使人とその妻との別れの贈答である。作者の名はいずれも記されていない。
初句「我妹子が」 「我妹子」はわが妹子の約で、いとしい妻への親しみをこめた呼び方である。
二句「下にも着よと」 前歌第三千五百八十四首の「下にを着ませ」を受けた言い方で、妻のことばを引用している。
三句「贈りたる」 「たる」は完了の助動詞「たり」の連体形で、贈ってくれたの意。
四句「衣の紐を」 衣の合わせ目を結ぶ紐で、別れる男女が互いに結び合い、再会まで解かないものとされた。
結句「我れ解かめやも」 「やも」は反語で、どうして解くだろうか、決して解かないと強く誓っている。
わぎもこ:わが妹子の約、いとしい妻
ひも:衣を結ぶ紐、別れる男女が互いに結び合い再会まで解かないとされた
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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別れなばうら悲しけむ我が衣 下にを着ませ直に逢ふまでに
- 次の歌
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我がゆゑに思ひな痩せそ秋風の 吹かむその月逢はむものゆゑ