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栲衾新羅へいます君が目を
今日か明日かと斎ひて待たむ

歌の意味
新羅へとお出かけになるあなたにお逢いできる日を、今日か明日かと、身を慎み祈りながら待っていよう。
鑑賞
巻第十五 遣新羅使人歌 3587

詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
 新羅へ旅立つ夫の帰りを、今日か明日かと身を慎んで待とうと妻が詠んだ歌である。本巻の第三千五百八十三首で夫が頼みとした妻の「斎ひ」を、妻自身が引き受けて誓うかたちになっている。帰りを待つ日々の長さを、「今日か明日か」という切実な言い回しで先取りしている。
 本巻の前半は、天平八年に新羅へ遣わされた使節一行の歌を、難波の出航から帰途まで旅程の順に収めた歌群である。左注に「右十一首贈答」とあり、巻頭の十一首は出発を前にした使人とその妻との別れの贈答である。作者の名はいずれも記されていない。

 初句「栲衾」 楮などの繊維で織った白い夜具のことで、白の音から「新羅」にかかる枕詞である。
 二句「新羅へいます」 「新羅」は古く「しらき」と読む。「います」は「行く」の尊敬語である。
 三句「君が目を」 「目」は相手の姿、逢うことの意で、あなたに逢える日をの意となる。
 四句「今日か明日かと」 今日帰るか、明日帰るかと待ちわびる心を表す。
 結句「斎ひて待たむ」 「斎ふ」は身を清め慎んで無事を祈ること。夫の無事を祈りつつ待とうという決意で結ぶ。

たくぶすま:楮などの繊維で織った白い夜具、「新羅」にかかる枕詞
め:目、人に逢うこと
いはふ:身を清め慎んで神を祭り、無事を祈る
出典
万葉集
前の歌
我がゆゑに思ひな痩せそ秋風の 吹かむその月逢はむものゆゑ
次の歌
はろはろに思ほゆるかもしかれども 異しき心を我が思はなくに