はろはろに思ほゆるかもしかれども
異しき心を我が思はなくに
- 歌の意味
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はるか遠く隔たってしまうように思われることだ。けれども、私は心変わりする気持ちなど少しも抱いてはいないのに。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3588
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
はるかな旅路を思って心細さを述べつつ、それでも心変わりなどしないと夫が誓った歌である。左注「右十一首贈答」の最後の一首で、別れの贈答はこの誓いで締めくくられる。下の句「異しき心を我が思はなくに」は、本巻後半で配流の中臣宅守が詠んだ第三千七百七十五首の下の句と同じであり、巻の前後半で離れて暮らす男の誓いが重なっている。
本巻の前半は、天平八年に新羅へ遣わされた使節一行の歌を、難波の出航から帰途まで旅程の順に収めた歌群である。左注に「右十一首贈答」とあり、巻頭の十一首は出発を前にした使人とその妻との別れの贈答である。作者の名はいずれも記されていない。
初句「はろはろに」 「はろはろ」ははるばると同じで、遠く隔たっているさまを表す。
二句「思ほゆるかも」 「思ほゆ」は自然に思われる意、「かも」は詠嘆で、ここで切れる二句切れである。
三句「しかれども」 そうではあるけれどもの意で、上の句の心細さを打ち返して下の句の誓いへ転じる。
四句「異しき心を」 「異し」は普通と違う、怪しい意で、ここでは心変わりする心、浮気心を指す。
結句「我が思はなくに」 「なく」は打消の「ず」のク語法、「に」は詠嘆で、思ってもいないのにと強く打ち消して結ぶ。
おもほゆ:自然に思われる、思い出される
- 出典
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万葉集
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栲衾新羅へいます君が目を 今日か明日かと斎ひて待たむ
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夕さればひぐらし来鳴く生駒山 越えてぞ我が来る妹が目を欲り