大伴の御津に船乗り漕ぎ出ては
いづれの島に廬りせむ我れ
- 歌の意味
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大伴の御津で船に乗り、漕ぎ出していったなら、私はいったいどこの島に仮の宿りをすることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3593
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
難波の港から船出したあと、どこの島で仮寝をすることになるのかと、行く先の知れない旅への不安を詠んだ歌である。出発に臨んだ三首の最後に置かれ、ここから一行の船旅が始まる。帰途の最後の歌である本巻の第三千七百二十二首も「大伴の御津」から歌い起こしており、遣新羅使人の歌群は大伴の御津に始まり大伴の御津に終わる構成となっている。
左注に「右三首臨發之時作歌」とあり、本巻の第三千五百九十一首から第三千五百九十三首までの三首は、いよいよ出発に臨んだ時の作である。作者の名は記されていない。
初句「大伴の」 難波一帯は古く大伴氏の勢力が及んだ地で、「大伴の」は御津に冠せられる地名である。
二句「御津に船乗り」 「御津」は難波の港で、官船の出入りする港であることから「御」がつく。ここで船に乗り込む。
三句「漕ぎ出ては」 漕ぎ出していったならばの意で、「ては」が以後の旅程を思いやる起点となる。
四句「いづれの島に」 「いづれ」は不定称で、どこの島にの意。瀬戸内の島々を思い浮かべた問いである。
結句「廬りせむ我れ」 「廬り」は仮小屋を作って宿ること。「我れ」を最後に置いた倒置で、行く先の知れない自分を見つめている。
みつ:御津、難波の港
いほる:仮小屋を作って宿る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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海原に浮寝せむ夜は沖つ風 いたくな吹きそ妹もあらなくに
- 次の歌
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潮待つとありける船を知らずして 悔しく妹を別れ来にけり