- 歌の意味
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月の光が清らかなので、神島の磯をめぐる浦から、私は船出するのだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3599
詞書は前の歌に続き「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路にして情を慟みて思ひを陳べ、并せて所に当りて誦する古歌」
清らかな月の光に誘われるように、神島の浦から夜の船出をすると詠んだ歌である。月明かりを頼りに潮の具合を見て夜に船を出す、瀬戸内の船旅の実際が背景にある。初句と二句「月読の光りを清み」は、のちに長門の浦から夜に船出する本巻の第三千六百二十二首と同じであり、月光のもとの船出という同じ場面が繰り返されている。
左注に「右八首乗船入海路上作歌」とあり、本巻の第三千五百九十四首から第三千六百一首までの八首は、船に乗って海路に入ってからの作である。作者の名は記されていない。
初句「月読の」 「月読」は月の神の名で、転じて月そのものを指す。
二句「光りを清み」 「を〜み」は理由を表す語法で、月の光が清らかなのでの意となる。本巻の第三千六百二十二首も同じ初句と二句で歌い起こしている。
三句「神島の」 備後国の神島で、現在の広島県福山市付近とされる。
四句「磯廻の浦ゆ」 「磯廻」は磯のめぐり、「ゆ」は経由や起点を表す格助詞で、磯をめぐる浦からの意である。
結句「船出す我れは」 「我れは」を最後に置いた倒置で、月光のもとに船出する自分の姿を際立たせている。
つくよみ:月の神、転じて月
いそみ:磯のめぐり
ふなで:船が港を出ること
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ぬばたまの夜は明けぬらし玉の浦に あさりする鶴鳴き渡るなり
- 次の歌
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離れ磯に立てるむろの木うたがたも 久しき時を過ぎにけるかも