あをによし奈良の都にたなびける
天の白雲見れど飽かぬかも
- 歌の意味
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奈良の都にたなびいている空の白雲は、いくら見ても見飽きることがない。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3602
詞書「所に当りて誦詠する古歌」
奈良の都の空にたなびく白雲を、いくら見ても見飽きないとほめたたえた歌である。左注に「右一首詠雲」とあり、雲を詠んだ古歌とされる。旅の途上でこの歌を口ずさむことで、遠ざかる都への思いを託したものと考えられ、のちの本巻の第三千六百十三首と第三千六百十八首が「奈良の都は忘れかねつも」と望郷の思いを直接に述べるのと響き合っている。
詞書によれば、本巻の第三千六百二首から第三千六百十首までは、一行が旅の途中でその場にふさわしいとして口ずさんだ古歌である。自作ではない歌も旅の歌群に取りこまれており、当時の人々が古歌をどのように共有し、場に応じて歌い替えていたかを示している。
初句「あをによし」 「奈良」にかかる枕詞である。奈良山から顔料となる青土が採れたことによるとも言われる。
二句「奈良の都に」 平城京のことで、使節一行が後にしてきた都である。
三句「たなびける」 「たなびく」は雲や霞が横に長く引くこと。「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、たなびいているの意である。
四句「天の白雲」 空に浮かぶ白い雲で、都の空をのどかに彩るものとしてとらえられている。
結句「見れど飽かぬかも」 見ても見飽きないことだの意で、土地や景物を賛美する万葉集の常套的な結びの句である。「かも」は詠嘆を表す。
あをによし:「奈良」にかかる枕詞
たなびく:雲や霞が横に長く引く
- 出典
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万葉集
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しましくもひとりありうるものにあれや 島のむろの木離れてあるらむ
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青楊の枝伐り下ろしゆ種蒔き ゆゆしき君に恋ひわたるかも