青楊の枝伐り下ろしゆ種蒔き
ゆゆしき君に恋ひわたるかも
- 歌の意味
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青柳の枝を伐り下ろして挿し立て、神聖な種もみを蒔くように、恐れ多いあなたに恋い続けていることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3603
詞書は前の歌に続き「所に当りて誦詠する古歌」
近づくのも恐れ多い相手を思い続ける恋の歌である。苗代に柳の枝を挿し、清めた種もみを蒔く農耕の祭りのさまを序に用い、その「ゆ種」の音から「ゆゆしき」を導いている。左注に「右三首戀歌」とあり、古歌として口ずさまれた恋の歌三首の最初である。旅の途上で恋の古歌を誦することで、家に残した人への思いを重ねたものと考えられる。
詞書によれば、本巻の第三千六百二首から第三千六百十首までは、一行が旅の途中でその場にふさわしいとして口ずさんだ古歌である。自作ではない歌も旅の歌群に取りこまれており、当時の人々が古歌をどのように共有し、場に応じて歌い替えていたかを示している。
初句「青楊の」 芽吹いて青々とした柳のことで、苗代の水口に挿して田の神を祭る習わしがあったとされる。
二句「枝伐り下ろし」 柳の枝を伐って下ろすことで、農耕の祭りの所作である。
三句「ゆ種蒔き」 「ゆ種」は斎種で、清めた神聖な種もみのこと。初句からここまでが、「ゆ」の音を重ねて四句の「ゆゆしき」を導く序詞となっている。
四句「ゆゆしき君に」 「ゆゆし」は神聖で恐れ多い意で、近づきがたい相手を指す。
結句「恋ひわたるかも」 「わたる」は時間的に続ける意で、恋い続けていることだと詠嘆している。
ゆだね:斎種、清めた神聖な種もみ
こひわたる:恋い続ける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あをによし奈良の都にたなびける 天の白雲見れど飽かぬかも
- 次の歌
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妹が袖別れて久になりぬれど 一日も妹を忘れて思へや