妹が袖別れて久になりぬれど
一日も妹を忘れて思へや
- 歌の意味
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妻と袖を分かって別れてから久しくなったけれども、一日たりとも妻を忘れて過ごしたことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3604
詞書は前の歌に続き「所に当りて誦詠する古歌」
妻と別れて久しくなったが、一日たりとも忘れたことはないと誓う恋の歌である。「妹が袖」は共寝の際に交わした妻の袖を指し、そこから別れを語り起こしている。古歌として誦されたものであるが、長い旅に出たばかりの一行には、これから先の別れの長さを思わせる歌として響いたと考えられる。
詞書によれば、本巻の第三千六百二首から第三千六百十首までは、一行が旅の途中でその場にふさわしいとして口ずさんだ古歌である。自作ではない歌も旅の歌群に取りこまれており、当時の人々が古歌をどのように共有し、場に応じて歌い替えていたかを示している。
初句「妹が袖」 共寝の際に交わした妻の袖のことで、妻との親密な日々を象徴している。
二句「別れて久に」 「久」は長い時間の意で、別れてから長い時がたったことを表す。
三句「なりぬれど」 「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、逆接の「ど」で下へ続く。
四句「一日も妹を」 一日たりとも妻をの意で、初句の「妹」を重ねて思いの強さを示す。
結句「忘れて思へや」 「や」は反語で、忘れて思うことがあろうか、いや決してないと強く打ち消している。
ひさ:長い時間、久しいこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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青楊の枝伐り下ろしゆ種蒔き ゆゆしき君に恋ひわたるかも
- 次の歌
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わたつみの海に出でたる飾磨川 絶えむ日にこそ我が恋やまめ