帰るさに妹に見せむにわたつみの
沖つ白玉拾ひて行かな
- 歌の意味
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帰るときに妻に見せようと思うので、海の沖にある白玉を拾って行こう。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3614
詞書は前の歌に続き「備後国水調郡の長井の浦に船泊まりする夜に作る歌三首」
帰ったときに妻に見せるため、沖の白玉を拾って行こうと詠んだ歌である。白玉は真珠のことで、旅先の土産として妻を喜ばせたいという思いが込められている。のちに玉の浦で詠まれた本巻の第三千六百二十八首では、沖の白玉を拾ったものの見せる人がいないので置いてきたと詠まれており、妻に見せたいという同じ思いが反転したかたちで現れている。
詞書によれば、備後国水調郡の長井の浦に船を泊めた夜の作三首の一つである。長井の浦は現在の広島県三原市の糸崎付近とされる。三首の最初は大判官壬生宇太麻呂の旋頭歌で、本歌の作者の名は記されていない。
初句「帰るさに」 「さ」は時を表す接尾語で、帰るときにの意である。
二句「妹に見せむに」 「む」は意志の助動詞で、妻に見せようと思うのでの意となる。
三句「わたつみの」 「わたつみ」は海の神のことで、転じて海を指す。
四句「沖つ白玉」 「沖つ」は沖のの意、「白玉」は白く美しい玉、真珠のことである。本巻の第三千六百二十八首も同じ句を用いている。
結句「拾ひて行かな」 「拾ふ」は「ひりふ」と読み、拾う意。「な」は自己の意志を表す終助詞で、拾って行こうと結ぶ。
かへるさ:帰るとき、帰りがけ
しらたま:白く美しい玉、真珠
ひりふ:拾う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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海原を八十島隠り来ぬれども 奈良の都は忘れかねつも
- 次の歌
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我がゆゑに妹嘆くらし風早の 浦の沖辺に霧たなびけり