磯の間ゆたぎつ山川絶えずあらば
またも相見む秋かたまけて
- 歌の意味
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磯の岩の間を激しく流れ落ちる山川のように、絶えることなく無事であるならば、また来てこの地を見よう、秋になったら。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3619
詞書は前の歌に続き「安芸国の長門の島にして磯辺に船泊まりして作る歌五首」
磯の間を流れ落ちる山川が絶えないように、自分も無事であるならば、秋の帰途にまたこの地を見ようと詠んだ歌である。絶えることのない川の流れに、旅の無事への願いを重ねている。秋に帰ることは出発の際の妻との約束でもあり、本巻の第三千五百八十一首や第三千五百八十六首の秋の再会の約束が、ここでは土地との再会の約束として繰り返されている。
詞書によれば、安芸国の長門の島の磯辺に船を泊めて作った五首の一つである。長門の島は現在の広島県呉市の倉橋島とされる。五首のうち左注に作者が記されるのは最初の一首のみで、本歌の作者の名は記されていない。
初句「磯の間ゆ」 「ゆ」は経由を表す格助詞で、磯の岩の間を通っての意である。
二句「たぎつ山川」 「たぎつ」は水が激しく流れる意で、岩間を勢いよく流れ落ちる山川である。
三句「絶えずあらば」 川の流れが絶えないようにの意を含み、自分も絶えることなく無事であるならばと仮定している。ここまでが比喩となっている。
四句「またも相見む」 「む」は意志の助動詞で、またこの地を見ようの意である。
結句「秋かたまけて」 「かたまく」はその時期を待ち受ける、その時になる意で、秋になったらの意。四句と倒置になっている。
たぎつ:水が激しく流れる
かたまく:その時期を待ち受ける、その時になる
- 出典
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万葉集
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山川の清き川瀬に遊べども 奈良の都は忘れかねつも
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恋繁み慰めかねてひぐらしの 鳴く島蔭に廬りするかも