いつしかも見むと思ひし粟島を
外にや恋ひむ行くよしをなみ
- 歌の意味
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早く見たいと思っていた粟島を、遠くから恋しく思うだけなのだろうか。行く手だてがないので。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3631
詞書は前の歌に続き「周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作る歌八首」
早く見たいと願っていた粟島に立ち寄ることができず、遠くから恋しく思うしかないと嘆いた歌である。名高い島を目の前にしながら近寄れないもどかしさが、恋の歌のことばで表されている。粟島の所在については諸説あり定かでない。二首後の本巻の第三千六百三十三首にも粟島が詠まれている。
詞書によれば、周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作った八首の一つである。麻里布の浦は現在の山口県岩国市の海岸とされる。作者の名は記されていない。
初句「いつしかも」 早くの意で、いつになったらと待ち望む心を表す。
二句「見むと思ひし」 「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、見ようと思っていたの意である。
三句「粟島を」 粟島の所在は諸説あって定まらない。名高い島として旅人の関心を集めていたことがうかがえる。
四句「外にや恋ひむ」 「外」は遠く離れた所、「や」は疑問の係助詞で結びは連体形「む」となる。遠くから恋しく思うのだろうかの意。ここで切れる四句切れである。
結句「行くよしをなみ」 「よし」は手段、「を〜み」は理由を表す語法で、行く手だてがないのでの意。四句と倒置になっている。
よし:手段、方法
よそ:遠く離れた所
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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真楫貫き船し行かずは見れど飽かぬ 麻里布の浦に宿りせましを
- 次の歌
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大船にかし振り立てて浜清き 麻里布の浦に宿りかせまし