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大船にかし振り立てて浜清き
麻里布の浦に宿りかせまし

歌の意味
大船にかしを突き立ててつなぎとめ、浜の清らかな麻里布の浦に、宿りをしようか。
鑑賞
巻第十五 遣新羅使人歌 3632

詞書は前の歌に続き「周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作る歌八首」
 大船をつなぎとめて、浜の清らかな麻里布の浦に泊まっていこうかと思い迷う歌である。本巻の第三千六百三十首が船の進むことを理由に宿りをあきらめたのに対し、本歌は船を止めて泊まろうかと心を傾けており、麻里布の浦の美しさに引かれる気持ちが一連の中で行きつ戻りつしている。
 詞書によれば、周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作った八首の一つである。麻里布の浦は現在の山口県岩国市の海岸とされる。作者の名は記されていない。

 初句「大船に」 一行の乗る大型の船を指す。
 二句「かし振り立てて」 「かし」は船をつなぎとめるために水底に突き立てる杭のことで、船を泊める動作である。
 三句「浜清き」 浜辺が清らかであるとたたえる語で、四句の麻里布の浦を修飾する。
 四句「麻里布の浦に」 本巻の第三千六百三十首にも詠まれた周防国の浦である。
 結句「宿りかせまし」 「か」は疑問、「まし」はためらいを含む意志を表し、宿りをしようかと思い迷うさまを示す。

かし:船をつなぎとめるために水底に突き立てる杭
やどり:宿をとること、旅寝
出典
万葉集
前の歌
いつしかも見むと思ひし粟島を 外にや恋ひむ行くよしをなみ
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