家人は帰り早来と伊波比島
斎ひ待つらむ旅行く我れを
- 歌の意味
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家の者たちは、早く帰って来てと、伊波比島の名のとおり身を慎んで祈りながら待っていることだろう。旅を行く私のことを。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3636
詞書は前の歌に続き「周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作る歌八首」
伊波比島の名から「斎ひ」を導き、家の者たちが自分の無事な帰りを祈りながら待っているだろうと思いやった歌である。旅人の安全は家に残る者の斎ひによって守られると信じられており、出発前に妻が「斎ひて待たむ」と詠んだ本巻の第三千五百八十七首が想起される。伊波比島は現在の山口県上関町の祝島とされる。次歌も伊波比島を詠み、二首で一組となっている。
詞書によれば、周防国玖河郡の麻里布の浦を行く時に作った八首の一つである。麻里布の浦は現在の山口県岩国市の海岸とされる。作者の名は記されていない。
初句「家人は」 「家人」は家族、家にいる人々のことである。
二句「帰り早来と」 「来」は命令形で、早く帰って来てという家人のことばを引用している。
三句「伊波比島」 周防国の伊波比島で、現在の祝島とされる。島の名が四句の「斎ひ」と同音で、掛詞的に導いている。
四句「斎ひ待つらむ」 「斎ふ」は身を清め慎んで無事を祈ること、「らむ」は目の前にない現在の事柄の推量で、祈りながら待っているだろうの意である。
結句「旅行く我れを」 四句と倒置になっており、待たれているのが旅行く自分であることを最後に示している。
いへびと:家族、家にいる人々
いはふ:身を清め慎んで神を祭り、無事を祈る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹が家路近くありせば見れど飽かぬ 麻里布の浦を見せましものを
- 次の歌
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草枕旅行く人を伊波比島 幾代経るまで斎ひ来にけむ