これやこの名に負ふ鳴門のうづ潮に
玉藻刈るとふ海人娘子ども
- 歌の意味
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これがあの、名高い鳴門の渦潮の中で玉藻を刈るという海人の娘たちなのか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3638
詞書「大島の鳴門を過ぎて再宿を経ぬる後に、追ひて作る歌二首」
名高い鳴門の渦潮の中で玉藻を刈るという海人の娘たちを、実際に目にした驚きを詠んだ歌である。うわさに聞いていた光景を目の当たりにした感動が、「これやこの」という歌い出しに表されている。渦巻く潮の激しさと、その中で働く娘たちのたくましさとが対照的にとらえられている。
作者の田辺秋庭は遣新羅使の一行に加わった人物であるが、官職などの伝は詳らかでない。
詞書によれば、大島の鳴門を通り過ぎて二晩を経た後に、思い返して作った二首の一つである。大島の鳴門は、周防大島と本土との間の大畠瀬戸を指すとされ、潮の流れの速い難所である。左注に「右一首田邊秋庭」とある。
初句「これやこの」 「や」は疑問の係助詞で、これがあのうわさに聞くものかと、目の前のものを確かめる感動の言い方である。
二句「名に負ふ鳴門の」 「名に負ふ」はその名にふさわしい、名高いの意で、大島の鳴門を指す。七音の二句に一音多い八音の字余りである。
三句「うづ潮に」 渦を巻いて流れる潮のことで、鳴門の激しい潮流を表す。
四句「玉藻刈るとふ」 「とふ」は「といふ」がつまった形で、玉藻を刈るというの意。伝え聞いていたことを示す。
結句「海人娘子ども」 海で漁をする家の娘たちで、体言止めによって目の前の娘たちの姿を印象づけている。
おふ:名に負ふの形で、その名を持つ、名高い
うづしほ:渦を巻いて流れる潮
たまも:美しい藻
あまをとめ:海で漁をする家の娘
- 作者
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田辺秋庭
- 出典
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万葉集
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草枕旅行く人を伊波比島 幾代経るまで斎ひ来にけむ
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波の上に浮き寝せし宵あど思へか 心悲しく夢に見えつる