- 歌の意味
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夜明け前の、家が恋しくてならないときに、浦のあたりから櫂の音がするのは、海人の娘が漕いでいるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3641
詞書は前の歌に続き「熊毛の浦に船泊まりする夜に作る歌四首」
夜明け前の家恋しさのつのる時に、浦のあたりから聞こえてくる櫂の音を、海人の娘が漕ぐ音だろうかと思いやった歌である。眠れぬまま家を思う暁の静けさの中で、櫂の音にふと心を引かれている。本巻の第三千六百二十四首でも夜の海に響く櫂の音が詠まれており、船旅の夜の孤独を音によってとらえる表現が繰り返されている。
詞書によれば、熊毛の浦に船を泊めた夜に作った四首の一つである。熊毛の浦は周防国熊毛郡の浦で、現在の山口県上関町付近とする説などがある。四首のうち作者が記されるのは最初の一首のみで、本歌の作者の名は記されていない。
初句「暁の」 「暁」は「あかとき」と読み、夜明け前のまだ暗いころを指す。
二句「家恋しきに」 家が恋しいときにの意で、眠れぬまま家を思う心である。
三句「浦廻より」 「浦廻」は浦のめぐりのことで、浦のあたりからの意である。
四句「楫の音するは」 「楫」は船を漕ぐ櫂で、櫂の音がするのはの意。八音の字余りとなっている。
結句「海人娘子かも」 「かも」は疑問を含む詠嘆で、海人の娘であろうかと思いやって結ぶ。
あかとき:夜明け前のまだ暗いころ
うらみ:浦のめぐり
かぢ:船を漕ぐ櫂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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都辺に行かむ船もが刈り薦の 乱れて思ふ言告げやらむ
- 次の歌
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沖辺より潮満ち来らし可良の浦に あさりする鶴鳴きて騒きぬ