- 歌の意味
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天皇のご命令を恐れ慎んで承り、大船の進むのにまかせて、あちらこちらに宿りをすることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3644
詞書「佐婆の海中にして、たちまちに逆風に遭ひ、漲ふ浪に漂流す。経宿して後に、幸ひに順風を得て、豊前国下毛郡の分間の浦に到着す。ここに艱難を追ひて怛み、悽惆して作る八首」
天皇の命を受けた身として、大船の行くままにどこにでも宿りをするほかないと詠んだ歌である。逆風に遭って思わぬ地に流れ着いた苦難を、使命を負う官人としての覚悟によって受け止めようとしている。しかしその底には、自分の意思では行き先も選べない旅の心細さがにじんでいる。
作者の雪宅麻呂は雪連宅満とも記され、壱岐の卜部の家の出とされる人物である。この後、一行が壱岐の島に着いた時に病によって没し、その死を悼む他の人々の挽歌が本巻の第三千六百八十八首以下に収められている。
詞書によれば、周防国の佐婆の海で突然逆風に遭って漂流し、一夜を経て順風を得て豊前国下毛郡の分間の浦にたどり着いた一行が、その苦難を思い返して作った八首の一つである。佐婆の海は現在の山口県防府市の沖、分間の浦は大分県中津市付近とされる。左注に「右一首雪宅麻呂」とある。
初句「大君の」 「大君」は天皇のことである。
二句「命畏み」 「命」は天皇のお言葉、ご命令のこと。「畏み」は形容詞「畏し」の語幹に「み」がついた形で、恐れ慎んで承りの意である。官人が任務を受ける時の決まった言い方である。
三句「大船の」 一行の乗る大型の官船である。
四句「行きのまにまに」 「まにまに」はなりゆきにまかせての意で、船の進むのにまかせてということである。
結句「宿りするかも」 「かも」は詠嘆で、宿りをすることだと結ぶ。逆風で流された先々に泊まる身の上を表している。
おほきみ:天皇
みこと:天皇のお言葉、ご命令
- 作者
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雪宅麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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沖辺より船人上る呼び寄せて いざ告げ遣らむ旅の宿りを
- 次の歌
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我妹子は早も来ぬかと待つらむを 沖にや住まむ家つかずして