鴨じもの浮寝をすれば蜷の腸
か黒き髪に露ぞ置きにける
- 歌の意味
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鴨のように海の上で浮き寝をしていると、黒々とした髪に露が降りてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3649
詞書は前の歌に続き「佐婆の海中にして、たちまちに逆風に遭ひ、漲ふ浪に漂流す。経宿して後に、幸ひに順風を得て、豊前国下毛郡の分間の浦に到着す。ここに艱難を追ひて怛み、悽惆して作る八首」
鴨のように海上で浮き寝をしていると、黒い髪に露が降りていたと詠んだ歌である。屋根もない船上で夜を過ごす旅のつらさが、髪に置いた露という具体的なものでとらえられている。鴨の浮き寝という比喩には、水に浮かぶ頼りない身の上が重ねられている。
詞書によれば、周防国の佐婆の海で突然逆風に遭って漂流し、一夜を経て順風を得て豊前国下毛郡の分間の浦にたどり着いた一行が、その苦難を思い返して作った八首の一つである。佐婆の海は現在の山口県防府市の沖、分間の浦は大分県中津市付近とされる。八首のうち作者が記されるのは最初の一首のみで、本歌の作者の名は記されていない。
初句「鴨じもの」 「じもの」はのようなものの意で、鴨のようにの意である。
二句「浮寝をすれば」 「浮寝」は水の上に浮かんで寝ることで、鴨の姿と自分の船上の寝姿を重ねている。
三句「蜷の腸」 蜷は川にすむ巻貝で、そのはらわたが黒いことから「か黒し」にかかる枕詞である。
四句「か黒き髪に」 「か」は接頭語で、黒々とした髪にの意である。
結句「露ぞ置きにける」 「ぞ」は係助詞で、結びは連体形「ける」となる係り結びである。露が降りてしまったことだと、気づきの詠嘆を表す。
かもじもの:鴨のように
みなのわた:蜷のはらわたが黒いことから「か黒し」にかかる枕詞
うきね:水の上に浮かんで寝ること
- 出典
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万葉集
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海原の沖辺に灯し漁る火は 明かして灯せ大和島見む
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