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志賀の海人の一日もおちず焼く塩の
からき恋をも我れはするかも

歌の意味
志賀の海人が一日も欠かさず焼く塩のように、からくつらい恋を、私はしていることだ。
鑑賞
巻第十五 遣新羅使人歌 3652

詞書「筑紫の館に至りて、遥かに本郷を望みて、悽愴して作る歌四首」
 志賀の海人が毎日欠かさず焼く塩の辛さに、つらく苦しい恋をたとえた歌である。筑紫に着いて故郷を望む悲しみを、土地の生業である製塩に託して表している。「一日もおちず」は、絶え間なく続く恋の苦しさをも重ねている。
 詞書によれば、筑紫の館に着いて、遥かに故郷の方を望み、悲しみに沈んで作った四首の一つである。筑紫の館は博多湾に臨む外交使節のための施設で、のちの鴻臚館にあたるとされる。作者の名は記されていない。

 初句「志賀の海人の」 志賀は博多湾の志賀島で、海人の住む地として知られた。六音の字余りである。
 二句「一日もおちず」 「おつ」は漏れる、欠ける意で、一日も欠かさずの意である。
 三句「焼く塩の」 海水を煮詰めて塩を作ることで、初句からここまでが、塩の辛さから四句の「からき」を導く序詞となっている。
 四句「からき恋をも」 塩の辛さを、恋のつらく苦しいことに転じている。
 結句「我れはするかも」 「かも」は詠嘆で、私はしていることだと結ぶ。

しか:博多湾の志賀島、海人の住む地として知られた
あま:海で漁をする人
おつ:漏れる、欠ける
出典
万葉集
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