志賀の浦に漁りする海人家人の
待ち恋ふらむに明かし釣る魚
- 歌の意味
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志賀の浦で漁をする海人よ。家の人が待ち焦がれているだろうに、夜を明かしてまで魚を釣っていることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3653
詞書は前の歌に続き「筑紫の館に至りて、遥かに本郷を望みて、悽愴して作る歌四首」
夜通し漁を続ける志賀の海人を見て、家の人が待ち焦がれているだろうにと思いやった歌である。海人の家族の待つ心を思いやるのは、そのまま故郷で自分を待つ家族への思いの裏返しであり、海人の身の上に自分の身の上が重ねられている。
詞書によれば、筑紫の館に着いて、遥かに故郷の方を望み、悲しみに沈んで作った四首の一つである。筑紫の館は博多湾に臨む外交使節のための施設で、のちの鴻臚館にあたるとされる。作者の名は記されていない。
初句「志賀の浦に」 博多湾の志賀島の浦である。六音の字余りとなっている。
二句「漁りする海人」 漁をしている海人への呼びかけで、ここで切れる。
三句「家人の」 「家人」は家族、家にいる人々のことで、海人の家族を指す。
四句「待ち恋ふらむに」 「らむ」は目の前にない現在の事柄の推量、「に」は逆接で、待ち焦がれているだろうにの意である。
結句「明かし釣る魚」 「明かす」は夜を明かす意で、夜通し釣る魚よの意。体言止めで結び、家族を待たせる海人の夜の漁を印象づけている。
いへびと:家族、家にいる人々
あかす:夜を明かす
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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志賀の海人の一日もおちず焼く塩の からき恋をも我れはするかも
- 次の歌
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可之布江に鶴鳴き渡る志賀の浦に 沖つ白波立ちし来らしも