夕月夜影立ち寄り合ひ天の川
漕ぐ船人を見るが羨しさ
- 歌の意味
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夕月の光のもとで、互いの姿が寄り添い合うように、天の川を漕ぎ渡っていく船人を見ることのうらやましさよ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3658
詞書は前の歌に続き「七夕に天漢を仰ぎ観て、おのもおのも思ふところを陳べて作る歌三首」
夕月の光のもと、恋人のもとへ天の川を漕ぎ渡っていく彦星を見て、うらやましく思う心を詠んだ歌である。恋人に逢いに行ける彦星と、妻に逢えない自分との隔たりが、「羨しさ」という一語に込められている。七夕の三首はいずれも天上の恋を地上の自分の境遇と重ねており、本歌はその思いをうらやみとして結んでいる。左注がなく、作者の名は記されていない。
詞書によれば、七夕の夜に天の川を仰ぎ見て、それぞれが思いを述べて作った三首の一つである。一行は筑紫の館で七月七日を迎えており、秋の帰国という出発時の約束がすでに果たせないことが明らかになりつつあった。
初句「夕月夜」 夕方に出ている月、またその月の出ている夜のことである。
二句「影立ち寄り合ひ」 「影」は光に照らされた姿のことで、彦星と織女の姿が寄り添い合うさまと解される。八音の字余りである。
三句「天の川」 彦星と織女を隔てる天の川である。
四句「漕ぐ船人を」 天の川を漕ぎ渡る船人で、織女のもとへ向かう彦星を指す。
結句「見るが羨しさ」 「羨し」はうらやましい意で、「さ」をつけた体言止めにより、見ることのうらやましさよと詠嘆して結ぶ。
ゆふづくよ:夕方に出ている月、その月の出ている夜
かげ:光に照らされた姿
- 出典
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万葉集
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年にありて一夜妹に逢ふ彦星も 我れにまさりて思ふらめやも
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秋風は日に異に吹きぬ我妹子は いつとか我れを斎ひ待つらむ