秋風は日に異に吹きぬ我妹子は
いつとか我れを斎ひ待つらむ
- 歌の意味
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秋風は日ましに強く吹くようになった。いとしい妻は、いつ帰って来るかと、身を慎んで祈りながら私を待っていることだろう。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3659
詞書「海辺にして月を望みて作る九首」
日ごとに強まる秋風に、帰るはずだった秋が来たことを感じ、妻がいつ帰るかと祈りながら待っているだろうと思いやった歌である。秋は帰国の約束の季節であり、その秋風が吹くのに帰れない身のつらさが表されている。出発前に妻が「斎ひて待たむ」と詠んだ本巻の第三千五百八十七首の約束が、ここで夫の側から思いやられている。
作者は大使阿倍継麻呂の次男で、名は伝わらない。父に従って使節の一行に加わっていた。左注に「大使之第二男」とある。
詞書によれば、海辺で月を望み見て作った九首の一つである。筑紫の館に滞在していた折の作と考えられる。
初句「秋風は」 秋の到来を告げる風で、帰国の約束の季節を示す。
二句「日に異に吹きぬ」 「日に異に」は日ましにの意、「ぬ」は完了で、日ごとに強く吹くようになったの意。ここで切れる二句切れである。
三句「我妹子は」 いとしい妻はの意である。
四句「いつとか我れを」 「か」は疑問の係助詞で、結びは連体形「らむ」となる。いつ帰るかと私をの意である。
結句「斎ひ待つらむ」 「斎ふ」は身を清め慎んで無事を祈ること、「らむ」は目の前にない現在の事柄の推量で、祈りながら待っているだろうと結ぶ。本巻の第三千六百三十六首の四句と同じ句である。
いはふ:身を清め慎んで神を祭り、無事を祈る
わぎもこ:わが妹子の約、いとしい妻
- 作者
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阿倍継麻呂の次男
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕月夜影立ち寄り合ひ天の川 漕ぐ船人を見るが羨しさ
- 次の歌
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神さぶる荒津の崎に寄する波 間なくや妹に恋ひわたりなむ