神さぶる荒津の崎に寄する波
間なくや妹に恋ひわたりなむ
- 歌の意味
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神々しい荒津の崎に絶えず寄せる波のように、絶え間なく、妻を恋い続けることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3660
詞書は前の歌に続き「海辺にして月を望みて作る九首」
荒津の崎に絶え間なく寄せる波に、妻を恋い続ける心をたとえた歌である。神々しくそびえる崎と、そこに打ち寄せる波の絶え間なさによって、終わりの見えない恋しさを表している。荒津の崎は博多湾に臨む岬で、現在の福岡市中央区の西公園付近とされる。
作者の土師稲足は遣新羅使の一行に加わった人物であるが、官職などの伝は詳らかでない。左注に「右一首土師稲足」とある。
詞書によれば、海辺で月を望み見て作った九首の一つである。筑紫の館に滞在していた折の作と考えられる。
初句「神さぶる」 「神さぶ」は神々しく古びる意で、荒津の崎のおごそかなさまをたたえている。
二句「荒津の崎に」 博多湾に臨む岬で、現在の福岡市中央区西公園付近とされる。
三句「寄する波」 崎に絶えず寄せる波のことで、初句からここまでが四句の「間なく」を導く序詞となっている。
四句「間なくや妹に」 「間」は絶え間のことで、絶え間なくの意。「や」は疑問の係助詞で、結びは連体形「なむ」となる。
結句「恋ひわたりなむ」 「わたる」は時間的に続ける意、「なむ」は完了の「ぬ」の未然形に推量の「む」がついた形で、恋い続けることになるのだろうかと結ぶ。
かむさぶ:神々しく古びる
ま:間、絶え間
こひわたる:恋い続ける
- 作者
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土師稲足
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋風は日に異に吹きぬ我妹子は いつとか我れを斎ひ待つらむ
- 次の歌
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風の共寄せ来る波に漁りする 海人娘子らが裳の裾濡れぬ