志賀の浦に漁りする海人明け来れば
浦廻漕ぐらし楫の音聞こゆ
- 歌の意味
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志賀の浦で漁をする海人は、夜が明けてくると、浦に沿って漕いでいるらしい。櫂の音が聞こえる。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3664
詞書は前の歌に続き「海辺にして月を望みて作る九首」
夜が明けると聞こえてくる櫂の音から、志賀の浦の海人が浦に沿って漕いでいるのだろうと推し量った歌である。夜通し月を眺めて過ごした明け方の静けさの中で、海人の暮らしの音に耳を傾けている。初句と二句は、筑紫の館で詠まれた本巻の第三千六百五十三首と同じ「志賀の浦に漁りする海人」であり、同じ海人の姿を夜と朝とで詠み分けている。
詞書によれば、海辺で月を望み見て作った九首の一つである。筑紫の館に滞在していた折の作と考えられる。本歌の作者の名は記されていない。
初句「志賀の浦に」 博多湾の志賀島の浦で、六音の字余りである。
二句「漁りする海人」 漁をする海人で、本巻の第三千六百五十三首の二句と同じである。
三句「明け来れば」 夜が明けてくるとの意で、已然形に「ば」がついた確定条件である。
四句「浦廻漕ぐらし」 「浦廻」は浦のめぐり、「らし」は根拠のある推定で、浦に沿って漕いでいるらしいの意である。
結句「楫の音聞こゆ」 「楫」は船を漕ぐ櫂で、その音が聞こえることが四句の推定の根拠となっている。
うらみ:浦のめぐり
かぢ:船を漕ぐ櫂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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わたつみの沖つ縄海苔来る時と 妹が待つらむ月は経につつ
- 次の歌
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妹を思ひ寐の寝らえぬに暁の 朝霧隠り雁がねぞ鳴く