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夕されば秋風寒し我妹子が
解き洗ひ衣行きて早着む

歌の意味
夕方になると秋風が寒い。いとしい妻が解いて洗い、仕立て直してくれた衣を、早く帰って着たいものだ。
鑑賞
巻第十五 遣新羅使人歌 3666

詞書は前の歌に続き「海辺にして月を望みて作る九首」
 夕方の秋風の寒さに、妻が解き洗いして仕立て直してくれた衣を、早く帰って着たいと願った歌である。秋風の冷たさが、妻の手の温もりのこもった衣への恋しさを呼び起こしている。旅の衣と家の衣とが対比され、次歌では旅の間に着続けた衣の汚れが詠まれる。
 詞書によれば、海辺で月を望み見て作った九首の一つである。筑紫の館に滞在していた折の作と考えられる。本歌の作者の名は記されていない。

 初句「夕されば」 夕方になるといつもの意である。
 二句「秋風寒し」 秋風が寒いの意で、ここで切れる二句切れである。
 三句「我妹子が」 いとしい妻がの意である。
 四句「解き洗ひ衣」 衣の縫い目を解いて洗い、仕立て直した衣のことで、妻の手間と心づかいがこもっている。
 結句「行きて早着む」 「む」は意志の助動詞で、帰って早く着ようの意である。

ときあらひごろも:縫い目を解いて洗い、仕立て直した衣
出典
万葉集
前の歌
妹を思ひ寐の寝らえぬに暁の 朝霧隠り雁がねぞ鳴く
次の歌
我が旅は久しくあらしこの我が着る 妹が衣の垢つく見れば