秋の野をにほはす萩は咲けれども
見る験なし旅にしあれば
- 歌の意味
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秋の野を美しく彩る萩は咲いているけれども、見ても甲斐がない。旅の身であるので。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3677
詞書は前の歌に続き「引津の亭に船泊まりして作る歌七首」
秋の野を彩る萩が咲いていても、旅の身では見ても甲斐がないと詠んだ歌である。美しい花も、共に眺める人がいなければ心を慰めるものとはならないという、旅の孤独が表されている。美しいものを見せる相手がいないという思いは、本巻の第三千六百二十八首の白玉の歌とも通じている。
詞書によれば、引津の亭に船を泊めて作った七首の一つである。引津は筑前国志麻郡の港で、現在の福岡県糸島市志摩の引津湾付近とされる。本歌の作者の名は記されていない。
初句「秋の野を」 秋の野をの意で、「を」は二句の「にほはす」の対象を示す。
二句「にほはす萩は」 「にほはす」は美しく色づかせる、照り映えさせる意で、野を彩る萩の花である。
三句「咲けれども」 「れ」は存続の助動詞「り」の已然形で、咲いているけれどもの意となる。
四句「見る験なし」 「験」はかい、効果のことで、見ても甲斐がないの意。ここで切れる四句切れである。
結句「旅にしあれば」 「し」は強意で、旅の身であるのでの意。四句と倒置になっており、甲斐がない理由を最後に示している。
にほはす:美しく色づかせる、照り映えさせる
しるし:かい、効果
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天飛ぶや雁を使に得てしかも 奈良の都に言告げ遣らむ
- 次の歌
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妹を思ひ寐の寝らえぬに秋の野に さを鹿鳴きつ妻思ひかねて