夜を長み寐の寝らえぬにあしひきの
山彦響めさを鹿鳴くも
- 歌の意味
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夜が長いので眠ることもできずにいると、山のこだまを響かせて、牡鹿が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3680
詞書は前の歌に続き「引津の亭に船泊まりして作る歌七首」
秋の夜長に眠れずにいると、山にこだまを響かせて牡鹿が鳴いていると詠んだ歌である。静まりかえった夜の山に響きわたる鹿の声が、眠れぬ旅寝の孤独をいっそう深めている。引津の亭での七首は、この鹿の声の歌で結ばれ、一連に三たび詠まれた鹿の声が秋の深まりと望郷の思いを印象づけている。
詞書によれば、引津の亭に船を泊めて作った七首の一つである。引津は筑前国志麻郡の港で、現在の福岡県糸島市志摩の引津湾付近とされる。本歌の作者の名は記されていない。
初句「夜を長み」 「を〜み」は理由を表す語法で、夜が長いのでの意である。
二句「寐の寝らえぬに」 眠ることができないのにの意で、本巻の第三千六百六十五首や第三千六百七十八首の二句と同じである。
三句「あしひきの」 「山」にかかる枕詞である。
四句「山彦響め」 「山彦」は山のこだま、「響む」は響かせる意で、こだまを響かせての意である。
結句「さを鹿鳴くも」 牡鹿が鳴いていることだの意で、本巻の第三千六百七十四首の結句と同じである。
い:眠り
やまびこ:山のこだま
とよむ:響かせる
さをしか:牡鹿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大船に真楫しじ貫き時待つと 我れは思へど月ぞ経にける
- 次の歌
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帰り来て見むと思ひし我が宿の 秋萩すすき散りにけむかも