はしけやし妻も子どもも高々に
待つらむ君や島隠れぬる
- 歌の意味
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いとしい妻も子どもたちも、今か今かと待ちわびているであろうあなたが、島に隠れて亡くなってしまったのか。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3692
詞書「反歌二首」
いとしい妻や子どもたちが今か今かと待っているであろうのに、宅満は島に隠れてしまったのかと嘆いた挽歌である。死を「島隠る」と、船が島陰に隠れることになぞらえて表している。待つ家族の姿を描くことで、その死の痛ましさがいっそう強められている。
作者の葛井子老は葛井連子老とも記され、遣新羅使の一行に加わった人物であるが、官職などの伝は詳らかでない。
本歌は、題のない長歌、本巻の第三千六百九十一首に添えられた反歌二首の一つで、同じく壱岐の島で没した雪連宅満を悼む挽歌である。左注に「右三首葛井連子老作挽歌」とある。
初句「はしけやし」 いとしい、ああいとおしいの意の語で、二句の妻子にかかる。
二句「妻も子どもも」 宅満の帰りを待つ家族である。
三句「高々に」 背伸びをして待ち望むさまで、今か今かと待ちわびる意である。
四句「待つらむ君や」 「らむ」は目の前にない現在の事柄の推量で、待っているであろうあなたが。「や」は疑問の係助詞で、結びは連体形「ぬる」となる。
結句「島隠れぬる」 「島隠る」は島陰に隠れる意で、ここでは死んで島に葬られたことをいう。「ぬる」は完了の連体形で、四句の「や」を受けて結ぶ。
しまがくる:島陰に隠れる、ここでは死んで島に葬られること
- 作者
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葛井子老
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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世間は常かくのみと別れぬる 君にやもとな我が恋ひ行かむ
- 次の歌
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黄葉の散りなむ山に宿りぬる 君を待つらむ人し悲しも