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黄葉の散りなむ山に宿りぬる
君を待つらむ人し悲しも

歌の意味
黄葉が散っていくであろう山に宿りをしてしまったあなたを、それとも知らずに待っているであろう家の人のことが悲しい。
鑑賞
巻第十五 遣新羅使人歌 3693

詞書は前の歌に続き「反歌二首」
 黄葉の散っていく山に葬られた宅満を、その死を知らずに待っているであろう家の人を思って悲しんだ挽歌である。散る黄葉に人の命のはかなさを重ね、死者その人よりも、残された家族への哀れみに焦点を当てている。前歌の「待つらむ君」を受け、待つ家族の悲しみへと思いを移して結んでいる。
 作者の葛井子老は葛井連子老とも記され、遣新羅使の一行に加わった人物であるが、官職などの伝は詳らかでない。
 本歌は、題のない長歌、本巻の第三千六百九十一首に添えられた反歌二首の一つで、同じく壱岐の島で没した雪連宅満を悼む挽歌である。左注に「右三首葛井連子老作挽歌」とある。

 初句「黄葉の」 秋に色づいた木の葉のことで、散りゆくものとして人の死を思わせる。
 二句「散りなむ山に」 「なむ」は完了の「ぬ」の未然形に推量の「む」がついた形で、散ってしまうであろう山にの意である。
 三句「宿りぬる」 宿りをしてしまったの意で、山に葬られたことを旅の宿りになぞらえている。
 四句「君を待つらむ」 「らむ」は目の前にない現在の事柄の推量で、あなたを待っているであろうの意。前歌第三千六百九十二首の四句「待つらむ君」を受けている。
 結句「人し悲しも」 「し」は強意、「も」は詠嘆で、待つ人のことが悲しいと結ぶ。

もみちば:秋に色づいた木の葉
やどる:旅先で泊まる、ここでは葬られる
作者
葛井子老
出典
万葉集
前の歌
はしけやし妻も子どもも高々に 待つらむ君や島隠れぬる
次の歌
昔より言ひけることの韓国の からくもここに別れするかも