あしひきの山下光る黄葉の
散りの乱ひは今日にもあるかも
- 歌の意味
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山の麓を照り輝かせている黄葉が、入り乱れて散るのは、まさに今日のことであるよ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3700
詞書「竹敷の浦に船泊まりする時に、おのもおのも心緒を陳べて作る歌十八首」
山の麓を照り輝かせる黄葉が入り乱れて散るのは、まさに今日のことだと、竹敷の浦の紅葉の盛りをたたえた歌である。散りまがう黄葉の華やかさを、今日という一日に集めてとらえている。左注に「右一首大使」とあり、十八首の最初に大使の歌が置かれて、宴の歌が歌い起こされている。
作者の阿倍継麻呂は遣新羅使の大使で、天平八年に任じられた。新羅からの帰途、翌天平九年に対馬で没した。
詞書によれば、竹敷の浦に船を泊めた時に、それぞれが心のうちを述べて作った十八首の一つである。竹敷の浦は対馬の浅茅湾内の浦で、現在の長崎県対馬市美津島町竹敷とされる。一連の前半には大使、副使、大判官、少判官と対馬の娘子の歌が並び、宴の席での作と考えられている。
初句「あしひきの」 「山」にかかる枕詞である。
二句「山下光る」 「山下」は山の麓のことで、麓が黄葉に照り輝いているさまである。
三句「黄葉の」 秋に色づいた木の葉のことである。
四句「散りの乱ひは」 「乱ひ」は入り乱れて見分けがつかないことで、黄葉が入り乱れて散るさまをいう。
結句「今日にもあるかも」 「も」は強意、「かも」は詠嘆で、まさに今日であることだと結ぶ。
やました:山の麓
まがひ:入り乱れて見分けがつかないこと
もみちば:秋に色づいた木の葉
- 作者
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阿倍継麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋去れば置く露霜にあへずして 都の山は色づきぬらむ
- 次の歌
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竹敷の黄葉を見れば我妹子が 待たむと言ひし時ぞ来にける