黄葉の散らふ山辺ゆ漕ぐ船の
にほひにめでて出でて来にけり
- 歌の意味
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黄葉の散る山のあたりを漕いでいく船の、その華やかな美しさに心ひかれて、私は出て来たのです。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3704
詞書は前の歌に続き「竹敷の浦に船泊まりする時に、おのもおのも心緒を陳べて作る歌十八首」
黄葉の散る山辺を漕いでいく船の華やかさに心ひかれて出て来たと、宴に招かれた土地の女性が詠んだ歌である。都から来た使節の船を美しいとたたえることで、一行を歓迎する心を表している。紅葉と船の取り合わせが華やかで、宴の席にふさわしい挨拶の歌となっている。
作者の玉槻は、左注に「對馬娘子名玉槻」とある対馬の女性で、一行をもてなす宴の席に侍った遊行女婦と考えられている。
詞書によれば、竹敷の浦に船を泊めた時に、それぞれが心のうちを述べて作った十八首の一つである。竹敷の浦は対馬の浅茅湾内の浦で、現在の長崎県対馬市美津島町竹敷とされる。一連の前半には大使、副使、大判官、少判官と対馬の娘子の歌が並び、宴の席での作と考えられている。
初句「黄葉の」 秋に色づいた木の葉のことである。
二句「散らふ山辺ゆ」 「散らふ」は散り続ける意、「ゆ」は経由を表す格助詞で、黄葉の散る山のあたりを通っての意である。
三句「漕ぐ船の」 山辺の浦を漕いでいく使節の船である。
四句「にほひにめでて」 「にほひ」は美しい色つや、華やかさ、「めづ」は心ひかれる意で、船の美しさに心ひかれての意である。
結句「出でて来にけり」 「に」は完了、「けり」は詠嘆で、出て来たのですと結ぶ。
ちらふ:散り続ける
にほひ:美しい色つや、華やかさ
めづ:心ひかれる、愛でる
- 作者
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玉槻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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竹敷の宇敝可多山は紅の 八しほの色になりにけるかも
- 次の歌
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竹敷の玉藻靡かし漕ぎ出なむ 君がみ船をいつとか待たむ