竹敷の玉藻靡かし漕ぎ出なむ
君がみ船をいつとか待たむ
- 歌の意味
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竹敷の玉藻をなびかせて漕ぎ出していくあなたの御船を、いつ帰って来るものとして待てばよいのでしょう。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3705
詞書は前の歌に続き「竹敷の浦に船泊まりする時に、おのもおのも心緒を陳べて作る歌十八首」
竹敷の玉藻をなびかせて漕ぎ出していく使節の船を、いつ帰るものと待てばよいのかと詠んだ歌である。前歌で船の美しさをたたえて一行を迎えた娘子が、本歌では旅立つ人を送り、帰りを待つ女の心を歌っている。迎えと送りの二首で、宴の席の娘子の役割が示されている。
作者の玉槻は、左注に「對馬娘子名玉槻」とある対馬の女性で、一行をもてなす宴の席に侍った遊行女婦と考えられている。
詞書によれば、竹敷の浦に船を泊めた時に、それぞれが心のうちを述べて作った十八首の一つである。竹敷の浦は対馬の浅茅湾内の浦で、現在の長崎県対馬市美津島町竹敷とされる。一連の前半には大使、副使、大判官、少判官と対馬の娘子の歌が並び、宴の席での作と考えられている。
初句「竹敷の」 対馬の竹敷の浦である。
二句「玉藻靡かし」 「玉藻」は美しい藻、「靡かす」はなびかせる意で、船が漕ぎ出すときに藻をなびかせるさまである。
三句「漕ぎ出なむ」 「な」は完了の「ぬ」の未然形、「む」は推量の連体形で、漕ぎ出していくであろうの意である。
四句「君がみ船を」 「君」は一行の人々を指し、「み」は美称の接頭語である。
結句「いつとか待たむ」 「か」は疑問の係助詞で、結びは連体形「む」となる。いつ帰るものとして待てばよいのかと結ぶ。
たまも:美しい藻
なびかす:なびかせる
- 作者
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玉槻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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黄葉の散らふ山辺ゆ漕ぐ船の にほひにめでて出でて来にけり
- 次の歌
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玉敷ける清き渚を潮満てば 飽かず我れ行く帰るさに見む