家づとに貝を拾ふと沖辺より
寄せ来る波に衣手濡れぬ
- 歌の意味
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家への土産にしようと貝を拾っていると、沖の方から寄せて来る波に、袖が濡れてしまった。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3709
詞書は前の歌に続き「竹敷の浦に船泊まりする時に、おのもおのも心緒を陳べて作る歌十八首」
家への土産にしようと貝を拾っていると、沖から寄せて来た波に袖が濡れてしまったと詠んだ歌である。家族への土産を求める心に、帰る日を思い描く望郷の思いがうかがえる。濡れた袖は涙に濡れる袖をも思わせ、続く本巻の第三千七百十首から第三千七百十二首にかけて、浜辺で貝を拾い袖を濡らす歌が続いていく。
詞書によれば、竹敷の浦に船を泊めた時に、それぞれが心のうちを述べて作った十八首の一つである。竹敷の浦は対馬の浅茅湾内の浦で、現在の長崎県対馬市美津島町竹敷とされる。一連の後半の九首には左注がなく、本歌の作者の名は記されていない。
初句「家づとに」 「家づと」は家への土産のことである。
二句「貝を拾ふと」 「拾ふ」は「ひりふ」と読み、拾う意。「と」は目的を表し、貝を拾おうとしての意である。
三句「沖辺より」 沖のあたりからの意である。
四句「寄せ来る波に」 沖から寄せて来る波にの意である。
結句「衣手濡れぬ」 「衣手」は袖のこと、「ぬ」は完了で、袖が濡れてしまったと結ぶ。
いへづと:家への土産
ひりふ:拾う
ころもで:袖
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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物思ふと人には見えじ下紐の 下ゆ恋ふるに月ぞ経にける
- 次の歌
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潮干なばまたも我れ来むいざ行かむ 沖つ潮騒高く立ち来ぬ