秋されば恋しみ妹を夢にだに
久しく見むを明けにけるかも
- 歌の意味
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秋になったので恋しさがつのり、せめて夢の中だけでも妻を長く見ていたいと思うのに、夜が明けてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3714
詞書は前の歌に続き「竹敷の浦に船泊まりする時に、おのもおのも心緒を陳べて作る歌十八首」
秋になって恋しさがつのり、せめて夢の中だけでも妻を長く見ていたいのに、夜が明けてしまったと嘆いた歌である。現実には逢えない妻に夢で逢おうとする切ない願いが、短い夜にさえぎられている。秋は帰国の約束の季節であり、その秋にかえって恋しさが深まっていくことが表されている。
詞書によれば、竹敷の浦に船を泊めた時に、それぞれが心のうちを述べて作った十八首の一つである。竹敷の浦は対馬の浅茅湾内の浦で、現在の長崎県対馬市美津島町竹敷とされる。一連の後半の九首には左注がなく、本歌の作者の名は記されていない。
初句「秋されば」 秋になるとの意で、帰国の約束の季節を示す。
二句「恋しみ妹を」 「恋しみ」は形容詞「恋し」の語幹に「み」がついたミ語法で、恋しいので妻をの意である。
三句「夢にだに」 「夢」は「いめ」と読み、「だに」はせめて〜だけでもの意である。
四句「久しく見むを」 「む」は意志、「を」は逆接で、長く見ていようと思うのにの意である。
結句「明けにけるかも」 「に」は完了、「けるかも」は詠嘆で、夜が明けてしまったことだと結ぶ。
いめ:夢
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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黄葉は今はうつろふ我妹子が 待たむと言ひし時の経ゆけば
- 次の歌
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ひとりのみ着寝る衣の紐解かば 誰れかも結はむ家遠くして