我妹子を行きて早見む淡路島
雲居に見えぬ家つくらしも
- 歌の意味
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いとしい妻のもとへ行って、早く逢いたい。淡路島が雲のかなたに見えてきた。家が近づいたらしい。
- 鑑賞
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巻第十五 遣新羅使人歌 3720
詞書は前の歌に続き「筑紫に廻り来て、海路にて京に入らむとし、播磨国の家島に到る時に作る歌五首」
雲のかなたに淡路島が見えてきたので、家が近づいたらしい、早く妻に逢いたいと詠んだ歌である。帰途に入って初めて故郷に近い景色を目にした喜びと、はやる心が率直に表されている。往路の長歌、本巻の第三千六百二十七首では淡路島が夕方に雲に隠れたと詠まれていたが、本歌ではその淡路島が雲のかなたに現れており、往路と帰路の景が対をなしている。
詞書によれば、新羅からの帰途、筑紫を回って海路で都に入ろうとし、播磨国の家島に着いた時に作った五首の一つである。家島は現在の兵庫県姫路市の家島諸島である。一行は年を越して天平九年に帰京したが、大使阿倍継麻呂は帰途の対馬で没し、副使大伴三中も病のため帰京が遅れた。本歌の作者の名は記されていない。
初句「我妹子を」 いとしい妻をの意である。
二句「行きて早見む」 「む」は意志で、行って早く逢おうの意。ここで切れる二句切れである。
三句「淡路島」 播磨の海から東に望む淡路島で、故郷に近づいたことを示す景物である。
四句「雲居に見えぬ」 「雲居」は雲のあるあたり、はるか遠くの意で、「ぬ」は完了である。雲のかなたに見えてきたの意。
結句「家つくらしも」 「家つく」は家に近づく意、「らし」は根拠のある推定、「も」は詠嘆で、家が近づいたらしいと結ぶ。
くもゐ:雲のあるあたり、はるか遠く
いへづく:家に近づく
- 出典
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万葉集
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草枕旅に久しくあらめやと 妹に言ひしを年の経ぬらく
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ぬばたまの夜明かしも船は漕ぎ行かな 御津の浜松待ち恋ひぬらむ