思ひつつ寝ればかもとなぬばたまの
一夜もおちず夢にし見ゆる
- 歌の意味
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思い続けながら寝るからだろうか、わけもなく、一夜も欠かさず、妻が夢に現れる。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3738
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
思い続けながら寝るからだろうか、一夜も欠かさず妻が夢に現れると詠んだ歌である。夢に妻が現れる理由を自分の思いの強さに求めており、毎夜の夢がかえって恋しさをつのらせていることがうかがえる。三句以下は、本巻の前半にある遣新羅使人の第三千六百四十七首の三句以下とほぼ同じであり、遠く離れた夫婦の嘆きが巻の前後半で響き合っている。
作者の中臣宅守は中臣東人の子で、神祇を司る中臣氏の出である。罪を得て越前国に配流されたが、のちに赦されて都に戻った。
左注に「右十四首中臣朝臣宅守」とあり、本巻の第三千七百三十一首から第三千七百四十四首までの十四首は、配流の地にあって宅守が娘子に贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「思ひつつ」 妻を思い続けながらの意である。
二句「寝ればかもとな」 「寝れば」は確定条件、「か」は疑問の係助詞で結びは連体形「見ゆる」となる。「もとな」はわけもなく、むやみにの意である。
三句「ぬばたまの」 「夜」にかかる枕詞である。
四句「一夜もおちず」 「おつ」は欠ける意で、一夜も欠かさずの意。本巻の第三千六百四十七首の四句と同じである。
結句「夢にし見ゆる」 「夢」は「いめ」と読み、「し」は強意。二句の「か」を受けて連体形で結んでいる。
おつ:漏れる、欠ける
いめ:夢
- 作者
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中臣宅守
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人よりは妹ぞも悪しき恋もなく あらましものを思はしめつつ
- 次の歌
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かくばかり恋ひむとかねて知らませば 妹をば見ずぞあるべくありける