逢はむ日をその日と知らず常闇に
いづれの日まで我れ恋ひ居らむ
- 歌の意味
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逢える日を、いつの日とも知らず、明けることのない闇の中にいるように、いつの日まで私は恋い続けているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3742
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
逢える日がいつとも知れず、明けることのない闇の中にいるように、いつまで恋い続けるのだろうかと嘆いた歌である。前歌まで再会への希望を述べてきたが、ここでは再会の日の見えない不安が「常闇」ということばで表されている。希望と絶望との間を揺れ動く配流の身の心が、歌の並びからうかがえる。
作者の中臣宅守は中臣東人の子で、神祇を司る中臣氏の出である。罪を得て越前国に配流されたが、のちに赦されて都に戻った。
左注に「右十四首中臣朝臣宅守」とあり、本巻の第三千七百三十一首から第三千七百四十四首までの十四首は、配流の地にあって宅守が娘子に贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「逢はむ日を」 逢えるであろう日をの意である。
二句「その日と知らず」 いつの日とも知らないでの意である。
三句「常闇に」 「常闇」は永遠に続く闇のことで、先の見えない境遇を表している。
四句「いづれの日まで」 いつの日までの意である。
結句「我れ恋ひ居らむ」 「む」は推量で、私は恋い続けているのだろうかと結ぶ。
とこやみ:永遠に続く闇
- 作者
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中臣宅守
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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命をし全くしあらばあり衣の ありて後にも逢はざらめやも
- 次の歌
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旅といへば言にぞやすきすくなくも 妹に恋ひつつすべなけなくに