我妹子に恋ふるに我れはたまきはる
短き命も惜しけくもなし
- 歌の意味
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いとしい妻を恋い慕うあまり、私は、短い命さえも惜しいとは思わない。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3744
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
いとしい妻を恋い慕うあまり、短い命さえ惜しくないと詠んだ歌である。前の歌で命さえあれば逢えると希望を述べたのに対し、本歌では恋のためには命も惜しくないという激しい思いに転じている。左注「右十四首中臣朝臣宅守」の最後の一首で、宅守の十四首はこの激しい恋情で結ばれる。
作者の中臣宅守は中臣東人の子で、神祇を司る中臣氏の出である。罪を得て越前国に配流されたが、のちに赦されて都に戻った。
左注に「右十四首中臣朝臣宅守」とあり、本巻の第三千七百三十一首から第三千七百四十四首までの十四首は、配流の地にあって宅守が娘子に贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「我妹子に」 いとしい妻にの意である。
二句「恋ふるに我れは」 恋い慕うあまり私はの意である。
三句「たまきはる」 「命」「世」などにかかる枕詞である。
四句「短き命も」 短い命もの意で、八音の字余りである。
結句「惜しけくもなし」 「惜しけく」は形容詞「惜し」のク語法で、惜しいこともないと結ぶ。
たまきはる:「命」「世」などにかかる枕詞
- 作者
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中臣宅守
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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旅といへば言にぞやすきすくなくも 妹に恋ひつつすべなけなくに
- 次の歌
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命あらば逢ふこともあらむ我がゆゑに はだな思ひそ命だに経ば