我が宿の松の葉見つつ我れ待たむ
早帰りませ恋ひ死なぬとに
- 歌の意味
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我が家の庭の松の葉を見ながら、私はあなたを待っていましょう。早く帰って来てください、私が恋い死にしないうちに。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3747
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
我が家の松の葉を見ながら待っていよう、恋い死にしないうちに早く帰って来てほしいと詠んだ歌である。松の「まつ」に「待つ」を重ね、常緑の松のように変わらぬ心で待ち続ける決意を示している。下の句「早帰りませ恋ひ死なぬとに」は次歌第三千七百四十八首と同じであり、二首を重ねて帰りを願う心を強めている。「早帰りませ」は、巻の前半の遣新羅使の妻の歌である本巻の第三千五百八十二首とも同じ句である。
作者の狭野弟上娘子は、宮中の蔵部に仕えた女嬬と呼ばれる下級の女官で、狭野茅上娘子とも記される。
左注に「右九首娘子」とあり、本巻の第三千七百四十五首から第三千七百五十三首までの九首は、宅守の歌に答えて娘子が贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「我が宿の」 「宿」は家、家の庭のことで、娘子の住まいを指す。
二句「松の葉見つつ」 常緑の松の葉を見ながらの意で、「松」に三句の「待つ」を響かせている。
三句「我れ待たむ」 「む」は意志で、私は待っていましょうの意。ここで切れる三句切れである。
四句「早帰りませ」 「ませ」は尊敬の命令形で、早く帰ってきてくださいの意である。本巻の第三千五百八十二首の結句と同じである。
結句「恋ひ死なぬとに」 「とに」はうちにの意で、恋い死にしないうちにと結ぶ。次歌第三千七百四十八首と同じ下の句である。
やど:家、家の庭
- 作者
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狭野弟上娘子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人の植うる田は植ゑまさず今さらに 国別れして我れはいかにせむ
- 次の歌
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他国は住み悪しとぞ言ふ速けく 早帰りませ恋ひ死なぬとに