他国に君をいませていつまでか
我が恋ひ居らむ時の知らなく
- 歌の意味
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よその国にあなたを住まわせたまま、いつまで私は恋い続けていればよいのでしょう。その時がわからないことです。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3749
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
よその国にあなたを住まわせたまま、いつまで恋い続けるのか、その時がわからないと嘆いた歌である。配流の期限が知れないことへの不安が、終わりの見えない恋の嘆きとして表されている。宅守が詠んだ本巻の第三千七百四十二首「いづれの日まで我れ恋ひ居らむ」と同じ思いを娘子の側から詠んだもので、二人の嘆きが呼応している。
作者の狭野弟上娘子は、宮中の蔵部に仕えた女嬬と呼ばれる下級の女官で、狭野茅上娘子とも記される。
左注に「右九首娘子」とあり、本巻の第三千七百四十五首から第三千七百五十三首までの九首は、宅守の歌に答えて娘子が贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「他国に」 よその国にの意で、配流の地の越前を指す。
二句「君をいませて」 「います」は「居り」の尊敬語に使役の意を含む下二段動詞で、あなたを住まわせての意である。
三句「いつまでか」 「か」は疑問の係助詞で、結びは連体形「む」となる。
四句「我が恋ひ居らむ」 私は恋い続けているのだろうかの意で、ここで切れる四句切れである。
結句「時の知らなく」 「なく」は打消の「ず」のク語法で、その時がわからないことよと詠嘆して結ぶ。
ひとくに:よその国、他国
います:「居り」の尊敬語、いさせる
- 作者
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狭野弟上娘子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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他国は住み悪しとぞ言ふ速けく 早帰りませ恋ひ死なぬとに
- 次の歌
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天地の底ひのうらに我がごとく 君に恋ふらむ人はさねあらじ