世の中の常のことわりかくさまに
なり来にけらしすゑし種から
- 歌の意味
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世の中の変わらない道理として、このようなありさまになってきたらしい。自分のまいた種がもとで。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3761
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
世の中の変わらない道理として、自分のまいた種がもとでこのようなありさまになったらしいと詠んだ歌である。配流の境遇を他人のせいにせず、自らの行いの結果として受け止めようとする心が表されている。宮廷への恨みや嘆きを重ねてきた一連の中で、自らを省みる静かな一首となっている。
作者の中臣宅守は中臣東人の子で、神祇を司る中臣氏の出である。罪を得て越前国に配流されたが、のちに赦されて都に戻った。
左注に「右十三首中臣朝臣宅守」とあり、本巻の第三千七百五十四首から第三千七百六十六首までの十三首は、宅守が配流の地から娘子に贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「世の中の」 世の中のの意である。
二句「常のことわり」 「ことわり」は道理のことで、世の中の変わらない道理の意である。
三句「かくさまに」 このようなありさまにの意で、配流の境遇を指す。
四句「なり来にけらし」 「けらし」は過去の事柄を根拠をもって推定する助動詞で、なってきたらしいの意。ここで切れる四句切れである。
結句「すゑし種から」 「すう」は置く、植える意で、自分が植えた種がもとでの意。四句と倒置になり、原因を最後に示している。
ことわり:道理
すう:置く、植える
たね:種、物事のもと
- 作者
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中臣宅守
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さ寝る夜は多くあれども物思はず 安く寝る夜はさねなきものを
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我妹子に逢坂山を越えて来て 泣きつつ居れど逢ふよしもなし